「日本のがん医療に対する現状政策から未来を考える」

 

札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科 平田 公一先生

 

 医療の最前線における医療行為の評価とその結果としての支援条件は、各国の政策に規定されている。

 国際間比較を試みるとその考え方の特徴とその結果に歴然とした差を生じる。

 すなわち、保険診療制度と医療行為に対する許認可制度が、診療動向と体制を決定付ける根幹となっている。

 その意味で日本の体制はどのような動向を示しているのであろうか。また、話題の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の視点から今後の日本の医療の展開としてどのような変化を生じることとなるのであろうか。   

 また、平成19年4月から施行されている「がん対策基本法」に関連する施策の下でがん医療はどのように変化してきたのであろうか。

 そして、その行先にはどのような態様が待ち受けているのであろうか。少子高齢化社会に伴う疾病構造の変化の中で、臨床外科医の役割はさらに幅広くなっていくことであろう。

 医療の質向上に貢献し、良質医療の提供に向けて新たに何を成すべきかを私見を混じえ、皆様とともに考えてみたい。